日本語教師は外国人に対して日本語を教えるため、英語を話す必要があるかと思われるかもしれません。
そこで今回は、海外で7年間日本語教師をしている私が、英語が話せない人でも日本語教師になれるのか解説します。
結論:国内で働くなら話せなくても大丈夫
結論から言うと、国内で働く場合は、英語は話せなくても大丈夫です。
国内では、教える学生の国籍は様々で英語が母国語でない学生も多いため英語を話す必要はほぼありません。
ただし、英語を話せるメリットもあります。
英語が話せるメリット
日本語の難しさに気づける
1つは、日本語と英語との対比で日本語の難しさに気づける点です。
大きな違いを挙げると、
私はスーパーで魚を買う。
I buy fish at supermarket.
英語は主語の次に動詞が来て後から名詞や前置詞などで情報を付け加えていきます。
また日本語は短い文にも「は」「を」「が」「に」といった複数の助詞が入っています。
この点も日本語学習者が苦手とする部分です。
このように基礎的な英語を知っているだけでも日本語がどれほど難しい言語であるか理解でき、英語について知っておくことで、学生が間違えやすい場所などにも気づくことができます。
未習の語彙などが出てきたときに対応できる
私の場合は、授業の初めにアイスブレイク(雰囲気作り)として、学生に質問することが多いです。
例えば、「昨日どこに行きましたか」と質問した場合は、基本的には「デパートへ行きました」など学習した語彙内で話すことがほとんどですが、中には学習した語彙以外で話したい学生も出てきます。
教師「きのうどこへ行きましたか。」
学生「zooへ行きました。」
教師「zoo…は日本語で動物園です。」
学生「動物園へ行きました。」
このような会話となり学生は新しい語彙を使って話すことができます。
授業では学習した語彙のみで説明するため英語は必要はありませんが、それ以外の場面では英語が出てくることがあるので、
最低限のレベルでは話せたほうがよいかもしれません。
転職活動にも使える
日本語教師は厳しい世界でもあります。
勤務内容に比べ、給与は決して高くありません。
そのため日本語教師をやめてしまう人も多くいます。
その際の選択肢を広げる意味でも、英語はできたほうがよいでしょう。
少なくともTOEICの点数は履歴書に書けるようにしておいたほうがよいでしょう。
海外で教える場合
海外で7年教えている立場から言うと、海外で教える場合、英語は必須です。
必要な英語レベルは働く国や機関にもよりますが、日本語学校が多くあるアジア・東南でも英語ができないと長く働くことは難しいように感じます。
というのも、授業自体は日本語を使った直接法で問題ありませんが、それ以外の部分で使うことが多いです。
例えば、現地の学校でビザや契約更新のときに担当者と話すときは、基本英語もしくは現地語で話すことになります。
他にも海外で暮らすには買い物するときも英語が必要ですし、様々な起こりうるトラブルに対処する必要があります。
日本語ができる学校職員に助けてもらうこともできるかもしれませんが、最終的には自分のことは自分で解決する必要があります。
また、これについては私の個人的意見ではなく、文部科学省の「日本語教員として望まれる資質・能力」にもこのようなことが明記されています。
■日本語教員としての基本的な資質・能力について
これからの日本語教員の資質・能力として,次のような点が大切であると考える。
(ア)言語教育者として必要とされる学習者に対する実践的なコミュニケーション能力を有していること。
(イ)日本語ばかりでなく広く言語に対して深い関心と鋭い言語感覚を有していること。
(ウ)国際的な活動を行う教育者として,豊かな国際的感覚と人間性を備えていること。
実際、私自身も日本語教師を続けてきて、上記の能力がないと国内外問わず長期的に日本語教師を続けていくことは難しいように感じます。
まとめ
日本語教師になるために英語を猛勉強する必要はありません。
最も大切なのは、行う授業の質です。
しっかり授業の準備をするかが最も大切なことです。ですが、授業に慣れてきたのであれば、少しずつ英語の勉強を始めることをおすすめします。
また、海外で働きたいという方は、英語でコミュニケーションを取れることが採用条件になっていることも多いため、最低限コミュニケーションが取れる程度までは勉強していきましょう。